ファン・ジニ

2006年/韓国  全24話
演出:キム・チョルギュ
脚本:ユン・ソンジュ
出演:ハ・ジウォン(チニ)、キム・ヨンエ(ペンム)、キム・ボヨン(メヒャン)
   チョン・ミソン(ヒョングム)、ワン・ビンナ(プヨン)、チャン・グンソク(ウノ)
   キム・ジェウォン(ジョンハン)、イ・シファン(ムミョン)、リュ・テジュン(ピョクケス)
   チョ・ソンハ(オムス)、イ・イネ(タンシム)、チョン・ギョンマン(クムチュン)
 
「妓生の一番の友が何か分かるか?」
「お酒ですか?愛ですか?芸ですか?」
「いや…苦痛だ」

16世紀に実在した妓生(キーセン)の物語―

初めて観た韓国の時代劇は『チャングム(大長今)』でしたが、
その華やかな宮中の様子には目を奪われました。
この『ファン・ジニ』は、妓生の世界とあって、さらに華やかで色っぽいです。
『チャングム』では三つ編みにした髪を頭の周りにぐるっと回した髪形オンリーでしたが、
こちらは非対称が基本らしく、髪を頭の片側に大きく結い上げています。
そこに大きな簪を挿すので、アクセントというよりも、
黒いキャンバスの上に描かれた花の絵のようです。

そうした表面の煌びやかさに負けない、強い眼差しを持つハ・ジウォン
以前から目力のある彼女の美しさが好きで、こっそりジウォンたんと呼んでたんですが(笑)
この作品に関しては、ちょっと怖くて呼べません>ぉ
斜に構えた、冷たい目つきが何とも素敵です>ミーハー

そんな彼女の目の強さと美しさが、よく生かされた物語だったと思います。
そして、その目が最後には柔らかく優しくなっていくのが見どころかと思います。

母親の意向で寺に預けられたチニが、偶然見かけた宴での舞に心を奪われ
自分も舞い手になりたいとの願いを抱くようになるところから始まります。
どんなに引き離しても、どんな障害があっても、彼女の中の才能が彼女を導いたのでしょうね。

思えば『チャングム』も、復讐譚やラブストーリーも含まれてはいたけれど、
中心となっていたのはチャングムの料理や医術に対する情熱でした。
『ファン・ジニ』においては、舞ですね。
時代劇で、主役は女性なのに、求道的な物語になっているのが興味深いです。

でも、希望通り教房に入ることができたチニが、まず直面しなければならなかったのは
妓生として生きることの辛さや悲しさでした。
舞に音楽に詩歌にと、あらゆる芸や教養が要求されるのに、身分は低く、
人間扱いされず、娼婦としての役割も果たさなければならない…
誇りや希望もあるだろうし、優越感を齎す部分もあるだろうし、かつ絶望も伴う世界です。

チニのように芸を追及したい者もいれば、生活の手段のためにこの道を選んだ者もいますが
この女性として最も辛い部分をもクリアしなければ、一人前の妓生にはなれません。
その時期の象徴としてチニの同期であるソムソムの悲劇が描かれます。

チニもまた恋をします。
口では悪態をつきながらも、盲目の母親の前に立って石を蹴ってどかしながら歩く
本当は心根の優しい可愛いチニですから、
お坊ちゃま@ウノが魅かれるのも理解できます。
ただ、ウノはいかにも甘く線が細くて、頼りないなあと思っちゃったんですが>スミマセンスミマセン
苦難の世界に生きているチニだから、そんな彼にホッとするものを感じたのかもしれません。

その恋はあっけなく消え、
チニは喪失感と、2人の逃避行の邪魔をしたペンムへの恨みを杖に何年間かを過ごした後
今度はジョンハンに出逢います。
最初はウノの面影を彼に求めていたわけですが、そういう気持ち、分かる気がします。
実際に似ている部分もあっただろうし、似ていてほしいという無意識の願いもあっただろうし、
彼に魅かれていく自分の心を受け入れ難くて、言い訳のような気持ちもあったでしょう。
最終的にウノに貰った指輪を捨て、ジョンハンへの愛に生きる決意をするんですけど、
事件があったとはいえ、ウノの時と同じ選択=駆け落ちを選ぶことになるのも
因縁めいていますよね。

他にも色々な愛の形がありました。
母ヒョングムと父、母ヒョングムとオムス、タンシムとピョクケス、タンシムとトクパル
ペンムとソン長官も…

チニとムミョンもありましたね。
私的にはムミョンが一番カッコイイと思ってたんだけど、都合の良い男扱いで悲しかったっす>ぇ

でも、そうした人間ドラマが語られた後で、結局のところ、チニは舞を選ぶんですよね。
私はてっきり、ジョンハンとハッピーエンドだと思っていました>単純

ジョンハンは自分の子供を殺してしまった重荷に一生苦しむことになるのでしょうか?
ま、それがあるからピョクケスがタンシムの子供を引き取るという結果を招いたのだと思うけど。

そうしたものを全て後にして、舞一筋に進むチニはカッコイイです。
後にしたというよりも、経験した全ての事柄や感情を舞に昇華させたというわけですよね。

ペンムの死も、チニの血肉になっていると思います。
チニに恨まれても仕方ない行為もあったけれど、
それは妓生としての宿命を嫌というほど知っているからであり、
そんな中で、ペンムなりの舞を追求してきたからですよね。
ピョクケスに啖呵を切るペンムはカッコ良かったです。
最後の舞は美しかったです。

ペンムの死にも泣きましたが、チニの舞にも泣けました。
質素な服装で演奏もなく踊る…ドラマ的には盛り上がるシーンだけれど、
実際に視聴してどうなのか…と思ってたら、マジで感動してしまいました。

ペンムも超えられなかったものをチニは超えたのですよね。
だから、終盤はちょっと哲学めいた話になっていったのも納得できます。

そして最後の最後に辿り着いたのが、
市場で、庶民達と一緒になって、明るい笑顔を浮かべて踊る姿だった…というのが
何とも感動的でした。

おお、メヒャンやプヨンに言及する間がなかった(笑)
メヒャンとペンムの友情&ライバル関係が、プヨン

とチニの関係に重なっていきましたが
最後にはそれをも、チニは超えていきましたね。
 

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