インファナル・アフェアIII 終極無間

'03年 香港
監督、撮影、プロデューサー:アンドリュー・ラウ
監督、脚本:アラン・マック
脚本:フェリックス・チョン
編集:ダニー・パン
音楽:チャン・クォンウォン
受賞歴:'04年第41回台湾金馬奨最優秀男優
     '04年香港電影評論学会大奨優秀作品
     '04年第9回金紫荊奨最優秀中国映画
出演:アンディ・ラウ(ラウ)、トニー・レオン(ヤン)、アンソニー・ウォン(ウォン)
    エリック・ツァン(サム)、レオン・ライ(ヨン)、チェン・ダオミン(シエン)
    ケリー・チャン(リー)、チャップマン・トウ(キョン)
 
★ネタバレありです。
まあ、基本的に私のレビューはネタバレを気にしてないんですが(笑)
でも、この作品はネタバレ無しに観た方が面白いので、未見の方はご注意下さい。

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三部作最終章。
サイコっぽい内容で、ちょっとビックリしましたけど
まあ、ラウの末路としては必然というか当然というか(^^;)

最初は、自分と同じ潜入マフィアを探し出し、ひとりひとり抹殺していく
冷酷なラウを描くのかと思っていたんですが、それは既に終了しており、
新たに出現したヨンに疑惑を抱き、振り回されていくラウの物語でした。

新たに、というのは観客にとってであって
物語世界では以前から存在していたことになっているのですが。
でも、違和感はなかったですね。
香港四天王のひとりレオン・ライが素敵です。

…てことで、これはラウが遂に壊れていく物語です。

『無間道』というタイトルからいって、冷徹に生きていける彼ではないのは明白ですね。
「善人になりたい」との願いを抱き、その願いのために殺人をも犯していく…
という皮肉な生き方を選んでしまった彼です。
平静でいられるとしたら、その願い自体がまやかしになってしまいますよね。

もうひとつビックリしたのは、
『I』『II』では孤独や苦悩が強調されていた感のあるヤンが
実は結構、明るい楽天家であったことと、
ヨンとシエンという仲間との交流があった、ということです。

最初は「おいおい」と思っちゃったんですが>こらこら
トニー・レオンが、こういうヤンをこそ演じたかったと言っていて納得しました。
確かに、明るさがなければ緊迫した状況の中で何年も耐えることは出来ませんよね。

『I』で屋上で向かい合うヤンとラウは、鏡に映る自分自身と向き合っているかのようでした。
それが今回の明るいヤンと精神的に暗く追い詰められていくラウでは
ラウの苦悩が際立つという効果はあるものの、
前二作で続いていた2人の対比という点はどうなるのか…?
ヤンは現在は既に亡く、ここで何度も登場するのは過去の姿なわけですから、
むしろヤンは輝いているべきなんですよね。
ますます濃くなっていく闇の中で、ラウはヤンの光を求め、同化しようとするのです。

予告でDr.リーとのキスシーンがあるのを知って、
ええ〜、プラトニックな仲じゃなかったの!?と、これまたビックリ。
でも、妄想だったのでホッとしょました>ぉ
『I』で、最後に逢った時にやっと互いの気持ちを確認し合ってたのですものね。
その後、ヤンが出かけるまでの間にどのくらいの余裕があったかは知りませんが>ぇ
(って、変なところに拘ってますか^^;)

この妄想癖がある(?)というのもヤンとラウの共通点かもしれません。

で、このDr.リーを鏡として、ラウは再びヤンと向き合います。
鏡像が完璧な形で完成します。

「何故チャンスをくれないんだ!?」
物語の最初の方で、ヨンの目の前で自殺した潜入マフィアのチャンと同じ台詞を
クライマックスのシーンではラウが言うことになります。

「あいにく俺は警官だ」
ヤンと同じ台詞をヨンの口から聞いて、ラウの鏡像にヒビが入ります。
額を撃ち抜かれたヤンの最後の姿が脳裏をよぎり、同じようにヨンの額を撃ち抜き、
ラウはもうひとつの鏡を壊してしまいます。

ヤンとヨンという似たような名前は、こういう意図があったのかもしれませんね。

額を撃つという行為は、ヤンがシエンの脚を撃ったこととも対比されているのでしょう。
警官であるヤンは致命傷にはならない部分を撃つよう訓練されていたけれど、
マフィアの場合は命を奪う目的で撃つわけですから…
つまりラウは結局のところ、マフィアでしかなかった…警官にはなりきれなかった…
ということなのだと思います。

しかし、三作ともラストは主要人物が額を撃たれて死ぬとは…凄い纏め方。

死ねなかったラウは、まだ無間道の中にいます。
サムの妻マリーの幻は、最初から最後まで彼が愛していたのは彼女だけで
彼の人生は彼女によって大きく変えられてしまったことを表しているのでしょうか?
彼女が彼を撃ったのは、彼への許しなのでしょうか?
彼のラウとしての精神は、その時に死んだのでしょうか?

車椅子の上でモールス信号を打つラウは、ヤンになりきってしまいました。
他人には、戻ることの出来ない無間道の中にいる彼しか見えませんが
外界を遮断してしまった彼の心の中では、本当になりたかったものになれて
もしかしたらラウは幸福なのでしょうか?
いや、それこそが無間道なのでしょうか?

ラストの方で、ヨンとシエンが屋上で亡くなったヤンを偲ぶところ
ヨンが自分の最後を悟っているかのように、カメラを通してシエンに語りかけるところ
ちょっと甘い感じもしますが、男の友情に十分ほだされました(^^)

チェン・ダオミンがまた良い味出してました。

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